<はじめに>
以下は「Heaven's Kitchen」のすぎやま由布子様からの頂きものです。
捧げもの「隣の花は赤かった」のサイト掲載の準備をしていたまさにその時、すぎやまさんからメールが届き、その文中に入っていた小品です。これは公開しなければ!と思いお伺いを立てたところ、ゴーサインが出ましたのでこちらに掲載の運びとなりました。表にとも思ったのですが、シチュエーションを考えてこちらに納めさせていただきました。
すぎやまさん曰く「男子が己の愚かさを呪っている頃こうなっていると思う」という女子サイドのお話です。すぎやまさん、ありがとうございました!
「ねえフィリーネ、偶には違う格好してミュラー提督を驚かせてみない?」
「え!?違う格好って…コスプレはイヤよ…」
「違う違う。下着の話」
「しっ、下着って!」
「私のもう着なくなったベビードールとか…(がさがさ)キャミソールとか…(ごそごそ)いっぱいあるんだよね、ほら!もらってくれると助かるんだけどなー」
「うわあすごい!嬉しいけど、サイズが合わないわよきっと…」
「流石にブラジャーは無理だけど、こういうのならサイズも合わないことはないはずよ。ストラップで片紐の調節もきくし」
「え?でも大きいと思う」
「ちょっと不恰好で隙があるくらいの方が男は喜ぶわよ」
「…ルシエルって経験豊富?」
「下着の数に見合うだけの経験はありますとも。こんなのどう?冬に向けてフェイクファー。ちょっと厚手だから恥ずかしさもないわ」
「あ、可愛い!真っ白!」
「ちょっとクリームがかってるから、あなたの金髪によく映えるわ」
「でも高そう」
「いいのよ、もう着ないもの。似合う人が着てくれるほうが服にとっても幸せでしょ」
「わああ、待って待って!…(無理やり試着させられ中)…あったかい」
「ほら可愛い!ミュラー提督がすぐ食べたくなると思うわよ!」
「だっ、だからそういうことを…」
「そういうための下着だもの。ねえフィリーネ、私もイメチェンしたいんだけど、パステルカラーだったらどういうものがいいかしら」
「…クローゼットの中、ほとんどヴィヴィッドカラーばっかりね」
「女の子らしいものも嫌いじゃないけど、そんなに似合うってわけでもなかったし」
「眼の色に合わせて、ピンク系はどう?」
「ピンク!?…確かに持ってないかも…」
「あんまり肌から浮くような薄いピンクじゃないほうがいいかも。清楚なレースや刺繍のものとかにしたらイメージ変わりそう」
「じゃあ今度買いに行くの付き合ってね」
「勿論よ。って、ルシエル、あの」
「そのまま着て帰りなさいって。絶対喜ぶから!…ベビードールの上からこの服やアクセサリーがあれば完璧!」
「…私の服…」
「こっちはお持ち帰りね。さて、男ふたりを放っておいてもなんだし、一緒にご飯にしましょう。簡単な料理教えてあげる」
「ありがとう、ルシエル!今日は何?」
「何がいい?」
ビビッドな紫の下着の上から、淡い色のキャミソールを重ねるルシエルに、フィリーネはこっそり笑うのだった。
<END>